家系図を作成する方法


ご先祖の故郷を訪ねる旅
ご先祖の故郷を訪ねる旅

 これから誰にでもできる家系図作成の方法、ファミリーヒストリーの調べ方を紹介します。先祖調査という旅のガイドブックのようなものです。

 以下のステップをすべて終えれば、資料に大きな欠落が無い限り江戸初期(1600年代)までの家の歴史が判明するはずです。それをまとめて、ぜひ自分の言葉で親戚や子孫にご先祖の生きざま、家の物語を伝えてください。

 貼られているリンクは本HP内の関連する記事です。関連サイトは外部の記事やコンテンツです。どちらも参考になりますので、あわせてお読みください。

 また、本サイトにはより実践的な家系図作成の方法を解説した家系図作成の演習家系図作成のQ&Aという記事もあります。あわせてお読みください。


1)戸籍・除籍・改製原戸籍の取得

 現在使用している戸籍の全部事項証明書から作業を開始して、現在入手できるもっとも古い除籍(通常は明治19年式戸籍)、および改製原戸籍(様式変更前の戸籍)の謄本(全員記載)を取得します。除籍の申請はご先祖の本籍地(故地)が遠い場合が多いため、通常は郵便で行います。すでに除籍などを取得済みの方は、取り漏らしがないかをチェックしましょう。直系尊属の死亡年月日(明治19年式の前戸主を除く)がすべて判明していないときは、取り漏らしがある可能性が考えられます。

 ちなみに外国では日本の戸籍制度のことをファミリー・レジストレーション(Family Registration )と呼んでいますが、このような制度があるのは日本、韓国、台湾だけです。そして外国の日系人も日本国籍を持っていたご先祖の除籍謄本を取得することができます。そのためには一世の日本における本籍地、一世から申請者までの出生・婚姻証明書(一世と申請者の関係が直系尊属・卑属であることを公的な文書で証明することが求められます)、そして同文書の日本語訳が必要です。日本語の読み書きができない三世、四世にとってはハードルが高くなっていますから、専門家のアドバイスを受けてながら申請したほうが良いでしょう。

家系図作成のQ&A

家系図作成の本棚

〔関連サイト〕

東京都文京区役所 戸籍証明(戸籍謄抄本・附票等)の郵送請求


2)除籍の解読

 除籍謄本には変体かな、異体字がよく使用され、明治時代の民法に基づく戸籍用語も頻出します。これらを理解しないと系図化することができないだけでなく、せっかく取得した除籍謄本などから十分に情報を得ることもできません。除籍を読み解くには、文字の解読、用語の理解が絶対に不可欠です。

除籍を読み解く(1)

除籍を読み解く(2)

除籍を読み解く(3)


3)除籍の系図化

 入手した戸籍・除籍・改製原戸籍の続柄をよく理解し、家系図(一系統のみの系図)と血系図(父母、祖父母と倍々で血の流れをさかのぼる家系図)を作成してみましょう。

 原則としてはパワーポイントかエクセルで系図を作ることをお勧めしますが、家系図の作成を助けてくれるソフトやアプリもいくつか公開、販売されています。それらを利用することもできます。

 家系図には横系図と縦系図、血系図があり、それぞれ書き方というものがあります。 

家系図と血系図

家系図作成ソフト&アプリ


旧土地台帳
旧土地台帳


4)旧土地台帳の取得

 全国の法務省には明治22(1889)年以降の土地の所有者を記載した旧土地台帳、土地の形を描いた和紙公図が保管されています。ご先祖が本籍地を置いていた土地(故地)の旧土地台帳を取得しましょう。旧土地台帳には専門用語が使用されていますので、解読方法についても学ぶ必要があります。

 ここまでの調査がまずは基本です。これら情報が集まった時点で、故地ツーリズムに旅立つと、よりご先祖の存在をリアルに感じることができるでしょう。故地ツーリズムについては、当HPの故地ツーリズムをご覧ください。旅立つ前に11)同姓分布の確認、14)地名辞典を読む、も終了しておけば、故地でひらめきがあるかも知れません。

旧土地台帳を読み解く(1)

旧土地台帳を読み解く(2)

〔関連サイト〕

全国の法務局のホームページ


5)家族、親戚から先祖の話を聞く

 どの家にも語り継がれた物語があります。その話は誰かが記録に残しておかないと失われてしまうものです。両親が生きていれば、まずは両親の人生について語ってもらってください。幼いころのこと、育った家のこと、家族のこと、学校のこと、仕事こと、伴侶と出会ったときのこと、あなたが生まれたころのこと、あなたの名前の由来、人生で一番感動したこと、忘れられない思い出など、質問することはたくさんあります。育った家がもうなくなっている時は見取り図を描いてもらいましょう。親戚の年配者にも同じように質問をします。先祖のエピソードについては、同じ話を複数の親戚に話してもらいましょう。同じ話でも記憶が微妙に違っていたり、ある人だけが知っている事実も分かることがあります。


古い写真
古い写真


6)写真を整理し、デジタル化して残す

 ご先祖を調べる上で重要な情報源になるのが写真です。1枚の写真が教えてくれることは、文字情報では絶対に得られないものを含んでいます。あなたのご先祖が写っている写真はこのうえなく貴重なものです。何歳のころ、どこで撮影したものか、また一緒に写っている人物がいれば、それは誰なのかを家族や親戚に訊ねて記録しておきましょう。古い世代の人が分かる事でも、代が新しくなると、分からなくなってしまいます。時間はあまり残されてはいません。古い写真については、すぐに情報を集めておく必要があります。せっかくご先祖の人生を知る手掛かりになる写真が残っていても、そこに移っている人物が誰なのか分からなくなると、もう謎が残るだけで何も物語ってはくれなくなるからです。

 あなたの家に残っている写真だけではなく、本家があれば、そこに残っている写真もデジタルデータにして保存するようにしましょう。セピア色に変色した古写真は業者に依頼すれば見やすくよみがえらせることができます。デジタルデータにした写真はぜひ親戚の間でシェア(共有)してください。 


7)軍歴証明書を取り寄せる

 あなたのご先祖やおじさんが戦争に従軍していれば、軍歴証明書(兵籍簿)を取り寄せましょう。戦争は辛い思い出です。そのため復員後、家族にも軍歴を語らなかった軍人がおおぜいいます。しかし、そのつらい体験もご先祖の人生の一部であることに変わりはありません。軍歴証明書を入手して戦争を追体験しましょう。それによってご先祖の辛い体験を共有し、慰霊することもできるはずです。もしかすると今は忘れられていますが、特攻隊で戦死した親戚もいるかも知れません。そういうご先祖がいるのであれば、なおのこと記録を保全し、慰霊しましょう。

 軍歴証明書はおおむね昭和6(1931)年の満州事変以降の者が入手でき、陸軍は終戦時に本籍地があった都道府県庁、海軍は厚生労働省が保管しています。戦死者の記録は陸海軍ともに厚生労働省にあります。シベリア抑留の記録も厚生労働省です。入手後は軍歴証明書に書かれている専門用語について軍事文献を読んで理解しましょう。

 陸軍は参考として東京都福祉保健局のサイトをリンクしておきましたが、同様のサイトがほかの府県庁にもありますので、そちらをご覧ください。

 また、陸海軍の将校については本HPのデジタルアーカイブを利用した先祖調査の「官員録・職員録」のなかに陸軍省と海軍省の名簿目録があるので、そちらをご羅下さい。

官員録・職員録

〔関連サイト〕

東京都福祉保健局 軍歴証明について

厚生労働省 旧軍人軍属の恩給、軍歴証明書に関する業務

厚生労働省 旧陸海軍から引き継がれた資料の写し等の請求について

厚生労働省 ロシア連邦政府等から提供された抑留者に関する資料について


8)学籍簿を取り寄せる

 ご先祖が通っていた小学校・中学校・高校・大学に保管されている学籍簿、成績原簿、卒業生台帳の写しを取得します。これらの記録によって在籍・卒業年度が確認でき、成績や親の職業などを知りえることもあります。申請先は通っていた学校、またはその学校を管轄している教育委員都会となります。ただし、卒業生台帳は永年保存文書ですが、ほかのものはそうではないめ、残存状況はまちまちです。

 ご先祖の通った学校が分からない時は本籍地が手掛かりになります。『角川日本地名大辞典』を見ると、ある村で明治以降に開校した小学校が記載されています。これを手掛かりにしてご先祖が通っていた学校を推理しましょう。


9)人事記録を取り寄せる

 ご先祖(すでに死亡されている方)が公務員だった場合は、所属していた役所に人事記録が保管されていることがあります。総務部の人事課に問い合わせてみましょう。通常、子孫の申請であれば開示してもらえるはずです。

 ただし、昨今の個人情報保護(同法は本来は生存者に情報を保護するもので、死亡者は適用外のはずですが、援用されて死亡者の情報も開示されづらくなっています)の観点から、子孫の問い合わせであっても開示されないことがあります。そういうときは、中央省庁であれば情報公開法、地方自治体であれば、それぞれで定めている情報公開条例を確認し、開示の申請を行う必要があります。オンライン申請も可能です。情報公開とはいえ個人情報の取扱いは厳密ですが、すでに故人となった公務員の職歴に関しては開示されることが一般的とされています。

 ただし、公文書館などに移管された公文書については、情報公開法の適用外となりますので、それぞれの公文書館のガイドラインに従って、レファレンス(照会。問い合わせ)を行うことになります。ほかに本HPの官員録・職員録、地方の職員録も参考になるはずです。

 会社員の場合は戦前の商工紳士録などから会社を調べ、その会社が存続している場合は照会を依頼しましょう。ただし、中小企業の場合はすでに廃棄している可能性が高いでしょう。

官員録・職員録

地方の職員録(戦前の外地の公務員を含む)

全国規模の紳士録・商工人名録・会社役員録

〔関連サイト〕

総務省 情報公開制度


10)引揚者在外事実調査票・引揚者給付金・同特別交付金記録の照会

 昭和20(1945)年の終戦時、外地(樺太・朝鮮・満州・台湾・中国・南洋など)にいた人は昭和31(1956)年、厚生省が実施した調査票に外地居住時の家族構成と生活状況、引揚時の状況などを記入して提出しています。これは「引揚者在外事実調査票」と呼ばれ、平成23(2011)年には厚労省から国立公文書館に移管されました。現在は一部非公開部分ありますが、基本的には誰でも閲覧することができます。

 また戦後、引揚者給付金・同特別交付金を受給している場合があります。これらを申請したときの記録が都道府県庁に保管されていますので、それを開示してくれるように依頼します。

 開示されると引揚前の住所、職業、内地時代の本籍地、引揚船の名前、乗船した家族の氏名、引揚後の住所などを知ることができます。

 除籍の取得が困難になっている外地時代については、このような記録を使って情報を集めます。

〔関連サイト〕

東京都福祉保健局 引揚者給付金・引揚者特別交付金について


11)同姓分布の確認

 写録宝夢巣(シャーロックホームズ。日本ソフト販売)のような電子電話帳を使って同姓の分布、住所、氏名を把握し、家系情報(家紋、菩提寺、墓地、家系図所有の有無、本家名、屋号、ご先祖について言い伝えなど)の提供をお願いするお手紙を送ります。

 デジタルではなく、紙の電話帳であれば主要な図書館で閲覧できます。分布だけなら、次のサイトでも知ることができます。また、ある地域の同姓の居住状態を地図上で知りたいときは、ゼンリンの住宅地図が役立ちます。ほかにも戦前には火災保険特殊地図という住宅地図が作られた地域もあります。国土地理院が公開している昭和20年代の航空写真から地域の昔の村の様子を知ることもできます。

 同姓アンケートの返信率はあまり高くはありません。原因は個人情報保護法の浸透、見知らぬ人に対する警戒感などがあげられますが、一言で言うと、こちらの身元を明らかにしない限り、受け取った相手もプライベートな情報は教えてくれないということです。そこで返信率を高めるテクニックをお伝えしましょう。

 同姓アンケートの手紙は、ワープロで打つよりも、手書きで書いたものを必要な部数コピーしたほうが返信率は高まります。そのさいも宛名だけは手書きが望ましいでしょう。またこちらの免許証などの公的書類の写し、家族写真などを添えると、ますます返信率は高まります。また、どうして家系を知りたいのか、その動機を詳しく書くことも受け取った相手の警戒心を解く上で大切なことです。

〔関連サイト〕

姓名分布&ランキング 写録宝夢巣

ゼンリン住宅地図プリントサービス

火災保険図 国立国会図書館リサーチ・ナビ

国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス


12)菩提寺・氏神を探す

 北海道や都市部に移住して長い時間がたっている家の場合、ご自分のご先祖の菩提寺が分からないことがよくあります。そのときは現在使用している菩提寺の宗派を手がかりにして、ご先祖の出身地(故地)周辺の寺院に問い合わせをすることになります。お寺を探すときにはGoogleマップを利用すると便利でしょう。

 また、明治4(1871)年の「郷社定則」という太政官達により国民は当時居住していた場所の近くにあった郷社(府県社より下、村社よりも格上の神社)の氏子になることを義務付けられました。このとき郷社には「氏子帳」を作成し、氏子の氏名を記載することが命じられたましたから、万が一、旧郷社に氏子帳が現存していれば、ご先祖の名前が記されているかも知れません。


お寺とお墓のQ&A

〔関連サイト〕

リサーチ・ナビ 国立国会図書館 日本の寺院(お寺)を調べるには

リサーチ・ナビ 国立国会図書館 神社を調べるには


墓地
墓地


13)過去帳とお墓から情報を集め系図化

 菩提寺や本家の仏壇にある過去帳、あるいはお墓には、戒名(浄土真宗では法名・日蓮宗では法号)・俗名・続柄・享年(行年)などが記載されています。続柄を手がかりにして系図を作ってみましょう。なかにはこれらと除籍の没年月日が一致しなかったり、過去帳と墓石に刻まれている没年月日がズレているような場合もあります。そのような時は墓石→過去帳→除籍の順番で正しい可能性があります。いずれにしても没年月日にズレがある場合は、その理由について親戚に訊ねてみたり、残されている情報から推理を働かせる必要があります。

 また、戒名を構成している院号や道号、位号について知る必要があります。これらの文字には故人の性格、趣味、仕事などが反映されていることがあります。

 神葬で葬った場合には、神社の霊名簿に記載があります。

過去帳を読み解く

葬送と先祖供養の本棚


14)地名辞典を読む

 『日本歴史地名大系』(平凡社)と『角川日本地名大辞典』(角川書店)を読んで、ご先祖が住んでいた村の歴史を知りましょう。これらの辞典には村の領主は誰だったのか、戸数と人口はどれくらいだったのか、米の生産高はいくらだったのか、年貢(税金)はいくらか、特産物は何か、神社と寺院の名前など、多くの情報が載っています。

 ご先祖が暮らしていた環境をよく知ることは、その生活、人生を理解する上で大変に役立ちます。

『日本歴史地名大系』を読む

『角川日本地名大辞典』を読む

地名の本棚


15)郷土誌を読む

 ご先祖が住んでいた土地の郷土誌を読みます。まずは小さな範囲を扱った地域史から始めて、じょじょに範囲を広げて市町村史、都道府県区史へと読み進めてゆきます。

 地方の郷土誌がお近くの図書館に所蔵されていない場合があります。そのときは図書館間相互貸借の制度を利用して取り寄せることになります。この制度を利用すれば、全国どこの図書館の文献でも自分が住んでいる地域の図書館に取り寄せて読むことができます。貸出し館が許可すれば自宅に持ち帰ってゆっくりと読むこともできます。郷土誌は1冊1000ページを超えるものも珍しくないため、できるだけ借り出して自宅で読むようにしましょう。その際に注意することは、国立国会図書館から取り寄せた本は貸出しが禁止れさている点です。同じ本が都道府県立図書館にもある場合は、貸出しを許可してくれることが多いので、そこから借りて欲しいと依頼する図書館の職員に伝えましょう。

〔参考サイト〕

図書館間相互貸借 Wikipedia

 

16)文献&名簿調査

 「ご先祖は西郷隆盛と親交があった」「刀鍛冶をしていて、皇室に太刀を献上した」「村会議員をしていた」など、家にはいろいろな言い伝えが残っているものです。それを調べるためには、Google検索や国立国会図書館サーチ、CiNiiなどで関連する文献・論文を調べ出し、丹念に内容を読み込んでゆく作業が必要です。

 また、地域には古代から現代までの代表的な郷土人物の履歴をまとめた人名辞典が各種刊行されています。このような辞典も重要な情報ソースとなりますので、必ず調べましょう。

 駒澤大学名誉教授の渋谷隆一氏が編纂された『都道府県別資産家地主総覧』(日本図書センター、1988~99年)、『明治期日本全国資産家・地主資料集成』(柏書房、1984年)、『大正昭和日本全国資産家・地主資料集成』(柏書房 、1985年)には、全国の資産家、地主、高額納税者、名士の名簿が豊富に収録されています。全国の主要な図書館に所蔵されていますので、ぜひご先祖が掲載されているかどうかを調べましょう。もしも掲載されていれば、戸籍では知り得なかった情報を入手することができます。

〔参考サイト〕

国立国会図書館サーチ

CiNii (論文検索)

東京都立中央図書館所蔵 道府県別人名事典類一覧 


17)デジタルアーカイブの利用

 現在では数多くの歴史史料がデジタルアーカイブ化(デジタル処理)され、所蔵機関のサイト上で原本の画像を閲覧することができます。そのなかには全国の紳士録や商工名鑑、藩士名簿、系図類などが大量に含まれています。先祖調査にとってはまさに宝の山い言ってもいいでしょう。これらを積極的に利用する先祖調べは、情報のデジタル化が進んだ21世紀にふさわしい家系調査方法です。欧米では日本よりもはるかに進んでいますが、今後、日本でも着実に増えてゆくだろうと思われます。

 また、公文書館の件名検索を利用することにより、ご先祖の名前が書かれている文書を自宅で発見する楽しみもあります。ほかにも親戚に連絡が取れない日系人がいるのであれば、ファミリー・サーチ(Family Search。日本語に対応しています)や アンセストリー・ドット・コム(Ancestry.com 。英語のみ。課金あり)で検索すると、発見できるかも知れません。

デジタルアーカイブを利用した先祖調査

〔参考サイト〕 

Family Search 

Ancestry.com 

 

18)分限帳の調査

 ご先祖が武士だった場合、あるいは武士であったかどうかを確認する場合は、藩士の名簿を調べます。これを分限帳(給帳・着到帳など)といい、活字化されたものもあれば、古文書の状態で文書館などに保管されていることもあります。

 当HPの「藩士と幕臣の系図と名簿」では、全国に現存している分限帳、侍帳、着到帳、士族名簿などのうち、江戸後期から明治にかけてのものを紹介しています。この年代の分限帳には、明治19年式戸籍に記載されているご先祖の名前が載っている可能性の高いため、ご先祖が武士(士族)だったという方は是非ご覧ください。

藩士と幕臣の系図と名簿

武士のQ&A

幕臣・藩士の本棚

〔関連サイト〕

リサーチ・ナビ 国立国会図書館 江戸時代の藩士を調べるには


19)藩政史料の調査

 藩が作成した文書群を藩政史料といいます。武士の場合は必ず調べなければならないもので、江戸時代に藩士が提出した系図が残されていることがあります。また藩の事務日誌などにご先祖の名前が登場することもあります。

 当HPの「藩士と幕臣の系図と名簿」では、全国に現存している藩士系図の所在、収録されている藩士苗字をほぼすべて紹介しています。ご先祖が武士だった方は是非ご覧ください。

 アメリカのファミリーサーチ(Family Search )は日本の公文書館が所蔵している藩士系図の目録を公開しています。その数は膨大です。

藩士と幕臣の系図と名簿

〔関連サイト〕

Family Search 


20)村方文書を探す

 村方文書(地方文書)とは江戸時代に作られた村に関する文書のことです。江戸時代の戸籍である宗門改帳や人別帳、土地関係の検地帳や名寄帳、行政関係の五人組帳など、村人の名前が確認できる文書がいろいろとあります。これらの文書は郷土誌(都道府県市町村史)を編さんする際に発見されることが多く、一部は郷土誌の本文で翻刻され、全体は『〇〇市資料所在目録』などが作製されて整理されます。また、全国の公文書館、博物館などにも多数所蔵されています。

 以下の関連サイトの検索窓に「宗門改帳」「人別帳」と入力すると、さまざまな情報がヒットされます。

〔関連サイト〕

国文学研究資料館 史料情報共有化データベース


21)新聞を調べる

 明治以降の新聞は家系調査に大変役立ちます。讀賣・朝日・毎日新聞などは創刊からの記事を簡単に検索することができますので、それぞれのデータベースを利用してご先祖の名前を調べましょう。地方紙の場合はデジタル化、索引化が行われていないため、所蔵している図書館などに出向き、紙面をマイクロフィルムで一枚ずつ見てゆくことになりますが、全国紙よりも高い確率でご先祖が記載されている可能性があります。記事だけではなく、地元の名士や商人であれば葬儀のさいの広告などにも注意が必要です。

〔関連サイト〕

リサーチ・ナビ 国立国会図書館 明治・大正時代の新聞記事を調べるには

神戸大学附属図書館 新聞記事文庫


くずし字
くずし字


22)くずし字を読めるようになる

 除籍の女性名に使われる変体かなだけではなく、公文書館などに所蔵されている文書は原則としてくずし字です。また、藩士系図、分限帳も活字化されていないものはくずし字で書かれています。さらに過去帳の記載も古いものはくずし字です。このように先祖調査を深めて行くうえで、くずし字解読は避けて通れない問題になります。そこで扱える記録の幅を広げるため、調査と同時にくずし字を解読する勉強を地道に行うことを強くお勧めします。

 なにはともあれ、ご自分の苗字とご先祖の名前だけでも読めないと、古い文書はまったく扱えません。

古文書を解読する

古文書の本棚 

〔参考サイト〕

東京都公文書館 古文書解読チャレンジ講座

埼玉県立文書館 ネット古文書講座


23)先祖の記録を物語としてまとめる

 以上の調査をすべて行えば、記録の散逸、廃棄が行われていなければ約1600年代までの家系をほぼ明らかにすることが可能です。家系図は調査を続ける限り広がり続けますので、途中でいったん区切りをつけて「まとめる」ことをお勧めします。

 「まとめる」さいには単にご先祖の名前を線でつないた家系図を作るだけではなく、ご先祖の生きた時代、暮らしていた場所の歴史や事件、習俗をよく調べ、一編の物語をつづるようにまとめることをお勧めします。単に図としての家系図は見た人に感動を与える力をほとんど持っていません。家系図だけでは語りかけるものがほとんどないからです。

 しかし、ご先祖の人生を物語風にまとめた家族の歴史には、読んだ子孫に感動させる力が備わります。せっかく苦労して集めたご先祖の情報ですから、より素晴らしい形で後世に遺される工夫をすることも大切です。


一般の家が歴史的事実に基づいた千年家系図などを作るのは到底不可能

 1600年代は幕府の寺請制度が始まった時期であり、お寺の過去帳に檀家の戒名が書かれ始めたころでもあります。この年代までは歴史的な記録によってほぼ個人の家系を復元することが可能ですが、それ以前はごく一部の公家・武家をのぞくと歴史学の一次史料を用いて史料批判に耐えられ家系図を作成することは残念ながら不可能となります。

 「1000年さかのぼる家系図」というようなフレーズを聞くことがありますが、17世紀以降の家系図とそれ以前の家系図は歴史をつづった記録としては全く異なるものであることを理解する必要があります。17世紀以前の家系図は史料による裏付けを取ることが難しく、多くの部分を後世の二次史料に頼るか、あるいは伝聞、推測によって作らざるを得ないものです。繰り返しますが、そのような家系図は到底歴史家の史料批判には耐えられません。

 その点を踏まえると、歴史史料とは何か、をよく理解している専門家は17世紀以前の家系図の作成については消極的な意見を持っているはずです。誰でもそれが作れるかのような言動や表現は厳に慎むべきでしょう。

 欧米でもネット上にアップされている家系図の信ぴょう性について疑問の声が高まり、アメリカの系譜学者認定委員会という組織が系図証明基準(Genealogical Proof Standard 。通称GPS)を定めました。これは系図の信ぴょう性を確認するため、その基になった情報や記録がオリジナルのソース(出所)なのか、オリジナルから派生したソースなのか、出来事に直接関わった人物が出来事の直後に残した一次情報(歴史学でいう一次史料)なのか、そうではない二次情報なのか、その記録はある質問に対して他の証拠を必要とせず答えを出している直接証拠なのか、他の証拠によって間接的に状況を立証している間接証拠なのかについて、逐一検討していく作業のことです。欧米では、この系図証明基準に基づいた系図しか高い評価を得られません。

 日本でも、質の高い家系図が世に広まるため、このような信ぴょう性を確認する基準が一日も早く導入されることを切に望みます。


 とはいえ、たとえば苗字が小笠原さんで、家紋が三階菱や松皮菱、出身地が信州(長野県)ということになれば、第56代清和天皇(850-81)の流れをくむ清和源氏小笠原氏族の子孫ではないかと歴史ロマンを抱いてしまう気持ちも分かります。

 歴史的な史実と推測を決して混合してはいけませんが、自分で調べる趣味としての家系図の世界では、もしかすると自分の家は清和源氏や信濃小笠原氏とつながっているかも知れないと夢見る自由はあります。そういう夢を持つほうが家系調べが面白くなるのは事実です。

 そこで次のような知識も必要となってきます。


『姓氏家系大辞典』 佐藤さんの項
『姓氏家系大辞典』 佐藤さんの項


24)『姓氏家系大辞典』を読む

 226事件が起きた昭和11年(1963)に刊行された専修大学教授太田亮博士の『姓氏家系大辞典』には、約5万姓のルーツについて詳細な解説がされています。現代の苗字やルーツ関連本でこの辞典の影響を受けていないものはないといわれるほどの名著ではありますが、旧かなづかい、旧漢字で書かれ、引用文献の書名は省略され、頻出する歴史用語にはまったく説明がありません。そのため「自分の苗字の部分を見たが、書いてある内容がさっぱりわからない」という声があとを絶ちません。しかし、この『姓氏家系大辞典』の記述を読み解くことができるようになると、日本人のルーツ調べは本当に面白くなるのです。

 ぜひ、歴史知識、系図の知識を学んで、この辞典を使いこなせるようになってください。

『姓氏家系大辞典』を読む

系図のQ&A

系図研究者たち

〔参考サイト〕

太田 亮著『姓氏家系大辞典』 国立国会図書館デジタルコレクション

太田 亮著『姓氏と家系』 同上

 

重ねふくら雀
重ねふくら雀


25)ご自分の家紋の由来・来歴について知る

 家紋は苗字を絵化したものといわれ、ルーツを推測する上で重要なヒントになります。まずは家紋の始まり、公家家紋と武家家紋の歴史の違い、主要な家紋の由来などを知りましょう。

 正確な家紋が分からないという方の場合は、親戚や故地(ご先祖の出身地。除籍を取得すれば判明します)同姓アンケートを送って確認することになります。参考サイトの『日本紋章学』は家紋研究の先駆者・沼田頼輔氏の先駆的な大著です。同書で沼田氏は昭和元年(1926)、帝国学士院恩賜賞を受賞し、現在のすべての家紋解説書はこの本を参考にしています。

 家紋の中には、「重ねふくら雀」のような可愛らしいデザインのものもあります。

 まずはご自分の家紋の由来、そして来歴について調べてみましょう。

代表家紋一覧

家紋のQ&A

〔参考サイト〕

沼田頼輔著『日本紋章学』 国立国会図書館デジタルコレクション


26)日本人のルーツについて考える

 日本人のルーツをさぐると「源平藤橘」にたどり着くとよく言われます。これは四大姓といわれるもので、源氏・平氏・藤原氏・橘氏のことです。実際はそんなことはなく、これらの四大姓は古代の氏族を次々と取り込んで日本を代表する大族となったわけですが、江戸時代以降に作成された系図には必ずといってよいほどこの四大姓が登場します。また『姓氏家系大辞典』などを読むときは、四大姓のほかに菅原氏や小野氏、武蔵七党などの主要氏族が登場しますので、それらの系図と歴史については知っておく必要があります。

 参考サイトの『新編纂図本朝尊卑分脈系譜雑類要集 』は永和3(1377)年から応永2(1395)年にかけて、藤原系の公家洞院家によって編纂された中世系図集です。本書によって四大姓の系図は他姓を取り込む形で集大成されたと考えられています。

源平藤橘から出た苗字一覧

古代氏族と武蔵七党から出た苗字一覧

系図のQ&A

系図の本棚

〔参考サイト〕

『新編纂図本朝尊卑分脈系譜雑類要集 』 国立国会図書館デジタルコレクション

太田 亮著「系図と系譜」、『岩波講座 日本歴史』第12巻 同上

太田 亮著『系図綱要 』 同上


27)ご自分の苗字の由来について知る

 我が国にはゆうに30万種類の苗字があります。その一つ一つの苗字には地名由来、官職由来、職業由来など、さまざまな発生の由来があります。佐藤さんや鈴木さんのような大姓には、なぜこれほどたくさん増えたのかという謎がありますし、服部さんや春日さんには、なぜ文字通りの読み方をしないのかという謎があります。もっと珍しいものや難読の苗字も数多くありますね。

 さらに連濁によって生じている「なかじま」と「なかしま」の違い、ハ行転呼によって生じた「はぎはら」と「はぎわら」の違いなど、苗字に関する興味は尽きません。

 まずはご自分の苗字の由来について調べてみてください。本HPをよくご覧になれば、あなたの苗字の由来を読み解くヒントがいくつも発見できるはずです。

人名学研究

苗字のQ&A

苗字の本棚


28)江戸時代の庶民の暮らしを知る

 ご先祖を知る面白さは、ただ名前を発見することだけではありません。ご先祖が生きた社会の状況を理解することによって、見えてくること、感じられることが実に多くあります。そのために必要な知識が歴史人口学であり、民俗学であり、地方史学であり、江戸風俗(時代考証)です。これらの学問、知識を通じて、江戸・明治に生きたご先祖の暮らしをリアルに想像してみてください。これこそが本当に知的でわくわくするような先祖調査というものなのです。よく、除籍を取り寄せ、それを系図化したら調査は終わり、という方がいますが、これは本当にもったいない話です。本当はそこからがスタートなのです。

日本史の本棚

歴史人口学の本棚

〔参考サイト〕

江戸東京博物館

江東区深川江戸資料館


29)江戸時代の武士の暮らしを知る

 ご先祖が武士であったという家の場合は、江戸時代の支配階級であった武士の社会についても学ぶ必要があります。どれくらいの給与をもらっていたのか、その給与はどのような方法で支払われていたのか、どのような仕事をしていたのか、上級武士と下級武士の違いは何だったのか、御家人株の売買や入れ子とは何か、秩禄処分にってどのように解体されたのか、など武家社会にも知っておきたいことが数多くあります。

 武家社会を理解することは封建時代を理解するうえで非常に重要なことですが、同時に時代劇や歴史小説を観たり、読んだりするのに役立つ知識でもあります。 

幕臣・藩士の本棚

〔参考サイト〕

国立歴史民俗博物館



30)「家族歴史の本(ファミリー・ヒストリー・ブック)」を作る

 先祖調査の最終段階は、知り得た情報から子孫に伝える物語(ストーリー)を完成させることです。

 自分の家の歴史と日本の歴史、ご先祖が暮らした地域の歴史を重ね合わせながら、事実をつなぎあわせ、時には合理的な推論を交えながら、誰でも分かるように物語をつむいでください。

 アメリカなどでは、このような小冊子をファミリー・ヒストリー・ブックといいます。必ずしも製本する必要はなく、バインダーで綴じた形式でも構いません。文章と家系図だけではなくご先祖の写真、重要な記録のコピー、家の見取り図などを入れて見て楽しいページ構成を各人が工夫しながら作ります。

 日本のこの手の本では見かけませんが、欧米ではご先祖から代々伝わるレシピなどもよく記されています。日本では、その家独自の御雑煮の作り方などを書き残しておくと面白いと思います。

  子供向けの絵本を作るのも良いアイデアですね。いつか子孫がその絵本を読んで、あなたやあなたの祖先のことを知る時が来ると思うと、嬉しく感じませんか。祖先とあなたと子孫は、いつまでも一つの大きな家族として家族歴史の本の中でつながっていることができるのです。これは素晴らしいことです。

 家族歴史の本をまとめることが先祖調査の最終地、旅の終わりです。



 家系図の作成は本人が試行錯誤しながら行うことが一番良いことではありますが、時間が無い、高齢である、どうしても早く知りたいなどの理由で、専門家に調査を依頼することは欧米でもよくあることです。

 私も支援という形でお受けしています。

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 また、プロフェッショナルとしてほかの方の家系図を代理作成したいという方は研修生の特別講座にご参加ください。先祖調査の基礎から高度な知識、テクニックまでを習得することができます。詳しくは下記をご覧ください。

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