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40代の独身女性であるAさんは、ある日、実家の整理中にセピア色に変色した古い写真を見つけた。そこには、見覚えのない着物姿の男女が写っていた。母に尋ねると、「その人たちは、お父さん方の曾祖父母だよ」と教えられた。しかし、父は昨年他界しており、それ以上のことは分からなかった。

海外には約500万人の日系人が暮らしているという。その中には、日本から移住した先祖の出身地を知りたい、先祖がどのような人生を歩んだのかを知りたい、そしていつか先祖の故郷を訪れてみたいと考える人が数多くいる。こうした人々を日本各地へ呼び込み、祖先の故郷を訪ねる「ルーツツーリズム」を促進するため、全国の地方自治体に「ルーツツーリズム相談室」を設置することを提案したい。

先祖探求に情熱をそそぐ人々にとって、避けて通れないのが「記録の壁」である。古い戸籍が廃棄処分されていたり、お寺の過去帳が失われていたりと、紙の記録だけではこれ以上遡れない限界が必ず訪れる。こうした調査の行き止まりを打破し、文字の調査では到達できなかったルーツを解き明かす鍵として、今「DNA姓プロジェクト」が注目されている。

海外では有名人のルーツを探求するドキュメンタリーが高視聴率を獲得している。日本でもNHKの『ファミリーヒストリー』は大変な人気である。現在は、人類はじまって以来の、かつてないほどのルーツブームであることは間違いないが、なぜ人々は自らのルーツにそれほど強く惹かれるのだろうか。そして、先祖を知ることは現代を生きる我々にとって、どのような良い影響があるのだろうか。

2008年に始まったふるさと納税は、納税者が自らの意思で応援したい自治体を選び、都市部と地方の税収格差を緩和する制度として創設された。しかし現在、その運用は理念から乖離しているといわれる。寄付先を選ぶ基準は「応援したい地域」ではなく「還元率の高い返礼品」へと移り、自治体間の返礼品競争が過熱した結果、返礼品代やポータルサイトへの手数料といった募集経費が寄付額を圧迫し、地域に残る財源は目減りしているというのだ。東京都などの都市部からは住民税収が流出し、行政サービスへの影響も懸念される。制度は「実質2000円で特産品を買う仕組み」、すなわち「官製通販」とまで揶揄されている。

先祖調べが盛んなアメリカには、リアルなルーツ探求を体験できるボードゲームがある。『The Game Of Genealogy How To Find Your Ancestors 』である。こういうゲームが日本にもあればいいなと思っていたが、いまはスマホゲームのほうが手軽だろう。そこで、日本人の先祖探求を疑似体験できるスマホゲームを考えてみた。

家系図と聞くと、多くの人は「自分の家のご先祖様を調べて、家族だけで大事にしまっておくもの」と思うのではないだろうか。日本では実際にそうした受け止め方が一般的である。ところが海外、とくに欧米では事情が違う。系図学(Genealogy)は歴史学や図書館・公文書館の仕事と深く結び付き、たくさんの市民が参加する「みんなのための活動」として発展してきた。

海外では、先祖に関心を持つ人の属性が調査されており、その結果は世界共通の傾向を示している。性別は女性、年齢層は50代以上、収入は中流以上、学歴が高い層が多く、人種別では白人が圧倒的多数を占める。会員数1万人以上を擁する全米系図学会(National Geneological Society )の役員やスタッフも多くが女性である

最近、AI(ChatGPT ・Gemini ・Claude )の性能が急速に向上し、先祖調査に利用する方も増えてきた。そこで、AIに任せられる作業と、まだ任せられない作業について考えてみたい。

現在、家系図業者の主力は「家系図ビジネス」である。これは依頼者の戸籍を代理取得して家系図を製作するビジネスだが、実は将来性は決して安泰ではない。その理由はいくつかあるが、まず、広域交付によって戸籍の取得が簡単になってしまったことが大きい。それまで時間のない人や戸籍取得が煩雑に思えた人は業者に頼んだが、いまは最寄りの役場の戸籍窓口にさえ行けば、自分から最古戸籍まで(江戸時代後期のものが取れることもある)を全て窓口で取り揃えてもらえる。一通ずつ業者が該当役所に請求して戸籍をたどるよりも早く揃うことも多い。戸籍情報を系図に図示しただけでは、付加価値が感じられない点も問題である。

歴史家の磯田道史氏が、「家に伝わる系図のほとんどは偽物である」と発言したという。おそらく歴史家であれば、磯田氏に限らず多くの人が同じ見解を示すだろう。それほど江戸時代以降に作られた偽系図は数多く存在する。

かなり前のことであるが、東京で講演を行った際、一人の男性から印象的な話を聞いた。その男性の娘さんは中学生の頃に不登校になったが、祖父の先祖調べを手伝ううちに少しずつ自信を取り戻し、やがて学校へ通えるようになったという。この話は長く私の記憶に残り、「先祖調べは不登校やひきこもりの若者の支えになるのではないか」という問題意識を抱くきっかけとなった。

ルーツツーリズムは、単なる観光ではなく、その土地に対して特別な思いを持つ「関係人口」を増やすという目的をもっている。先祖の故郷を訪れる人々は、自分のルーツやアイデンティティを確かめることによって、その地域に強い愛着や帰属意識を抱きやすい。その結果、一度の訪問で終わることなく、地域との継続的なつながりを築くことが期待できるのだ。

ルーツツーリズムの基本は、除籍謄本を取得し、先祖の本籍地を知ることから始まる。明治時代の本籍地は、実際の居住地である場合が多く、ルーツツーリズムにおける「故地」と考えてよい。

ルーツツーリズムを普及させるうえで、最大の課題となるのは、多くの人が「自分の先祖が具体的にどこに住んでいたのか」を知らないことである。

地方自治体には、ルーツツーリストを単なる一時的な観光客としてではなく、地域と深い感情的つながりを持つ「関係人口(Relationship Population) 」を生み出す存在として捉えてもらいたい。

まずは先祖の本籍地を知らなければならない。これを知るために最古の除籍謄本を取得する。自分、父、祖父と一代ずつ自分で遡って取り揃えてもいいが、郵便で該当する役所の戸籍係に依頼するのは少しハードルが高い。最寄りの役所に出向き、戸籍係に広域交付で取り揃えてもらうのがいいだろう。最短で当日、時間がかかっても1系統であれば2週間以内には揃えてもらえるだろう。

ルーツツーリズム(系図ツーリズム、先祖ツーリズムとも呼ばれ、四十以上の呼称がある)とは、先祖がかつて暮らしていた土地を訪れ、その地域の歴史や文化に触れることで、自らのルーツやアイデンティティを再確認する旅である。

ルーツツーリズム(Roots Tourism、Genealogy Tourism)とは、自分の祖先の出身地や、ルーツにゆかりのある土地を訪れ、その地域の歴史や文化、祖先の足跡をたどる旅である。日本ではまだあまり知られていないが、世界では近年、大きな広がりを見せている。この旅に出る人は、単なる観光客ではない。過去と現在を結ぶ「家族の物語の旅人」となるのである。

「自分とは何者なのか」「自分のルーツはどこにあるのか」「なぜ今ここにいるのか」といった問いは、ただの思いつきや好奇心から出てくるものではない。これらは、自分という存在を社会や歴史の中でどう位置づけるかを考える、本質的な問いである。

私たちが先祖のことを知ろうとするのは、ただ昔を懐かしむためだけではない。それは「自分がどこから来たのか」「自分とは何者なのか」といった、とても根源的な問いと向き合うことだからである。そうした問いに自分で答えを見つけることで、自分の人生をこれからどう生きていくか、前に進むための力を得ることができる。

ルーツビジネスは急成長を遂げた。世界最大の家系図データベースを誇るAncestry.comは1990年にアメリカの二人の青年が起業した会社だが、約30数年で売上は10億ドル(米ドル。2022年)に達し、300万人もの有料会員をかかえる大企業に発展した。これを追うイスラエルのMyHeritageも2003年に創業された新しい会社だが、写真のアニメーション化など独自のテクノロジーを盛んに開発し、売上は1億ドル以上と予測されている。

それまでは「きよ」「たき」のような二音節の名前が主流でしたが、二音節の後ろに接尾語の「い」「え(ゑ)」「の」「よ」「を」を付けた名前が地域限定で流行り出したのです。

明治時代の変体かなで書かれた女性名を読むとき、その当時、どのような名前があったのかを知っておくと解読の助けになります。