安心して依頼できる家系図作成業者の選び方

2019年12月22日


 アメリカなどには家系図作成を業務とする専門家の調査レベルを試験によって認定する協会がありますが、日本にはそういう機関が存在しません。そのため、家系図の製作を依頼する人は業者のホームページやパンフレットを見て、自分の目で業者のレベルを判断しなければなりません。ですが、そもそも家系図について詳しくない依頼者が業者のレベルや安心して任せられるかどうかを自力で選ぶことは非常に難しいと言わざるをえません。そこで、レベルが高く、安心して依頼できる家系図作成業者の選び方について重要なポイントをいくつかお話ししましょう。


1 値段が安すぎる業者は避けましょう。

 ネットで検索すると、同じ1系統の戸籍調査で、納品物もたいして変わらないのに、値段に大きな開きがあります。安いところだと3万円台からありますが、高いところだと9万円くらいに価格を設定しています。この差はどこからくるかというと、それは業者の専門性に対する自信のあらわれと言うことができます。そうじて高い値段設定の業者は専門性の高さを売りにしています。

 家系図は安く作れれば良いという性質のものではありません。ご先祖を記録し、子孫に残すものなのですから、安さよりも正確さ、詳しさを選ぶべきです。安く作った家系図が誤字だらけというのでは、先祖も浮かばれませんし、子孫も迷惑します。

 モノには適正な価格というものがあります。あまりに安すぎる業者は避けたほうが良いでしょう。高すぎるのも困りますが、ほどほどの値段の業者を選ぶのがやはり無難です。


2 戸籍以上の調査を行える業者に頼みましょう。   

 戸籍・除籍のみに基づいて家系図を作る業者とそれ以外の資料も用いて家系図を作る業者がいます。前者の調査は「戸籍調査」、後者は「戸籍以上調査」とか、「本格調査」と言いますが、調査のレベルから言うと、明らかに高度なのは後者です。後者の「戸籍以上調査」を行える業者にとって、戸籍調査は初歩的な技術ということになりますから、戸籍しか扱えない業者と比べると、戸籍・除籍の解読や分析にもなれているはずです。もしも値段も納品物も同じようなものであれば、戸籍以上調査を行っている業者のほうが安心して任せられます。

 家系図を作ると、除籍に記されていることに対する疑問や先祖の言い伝え、家に残っている記録の解釈など、質問したいことがいろいろと出てくるものです。そういうときも戸籍しか扱わない業者よりは、戸籍以上の調査を行っている業者の方が、より専門的な回答をしてくれる確率は高いでしょう。


3 ネット広告にいつも登場する業者は?

 GoogleやYahooで「家系図」「家系図作成」などと検索すると、いつも検索結果の上部や下部に広告を出している業者がいます。このような広告を検索連動型広告といいますが、これには大変な経費がかかります。なぜこういう業者は大金を払ってでも広告を出し続けているのかるというと、自然検索(オーガニック検索)では十分な問い合わせを集めることが困難だからでしょう。この広告費は当然ながら値段に転嫁されますから、依頼者の支払う代金の数十%は調査や製作費に使われるのではなく、GoogleやYahooに支払われることになります。せっかく家系図のために支払ったお金が家系図に使われず、業者の広告費についやされるのは、ちょっと嫌な気がしませんか。

 一方、自然検索で十分な問い合わせを集めている業者はホームページの記事を増やすなどして調査スキルの高さをアピールし、あえて大金を払って検索連動型広告を出そうとはしません。検索の上位にランクすることが必ずしもレベルの高さを示すものではなく、単にSEOの効果かも知れませんが、そうだとしても代金の何十%ものお金が広告費に変わるよりは、まだ自社のホームページで勝負している業者の方が好感は持てる気がしますが、みなさんはどう思われますか。



4 行政書士、司法書士を強調している業者は?

 現在の行政書士、司法書士の試験に戸籍法の問題はほとんど出題されず、もしも出たとしても現行の戸籍法の問題であって、戦前・大正・明治の戸籍法の問題は出ません。これからも分かる通り、行政書士・司法書士は明治や大正時代の戸籍については、何も試験で知識を問われてはいないのです。

 家系図には二種類あります。一つは相続の際に作製される事実証明としての家系図です。これにはおもに昭和以降の戸籍が使われます。この事実証明の家系図は法律で行政書士・司法書士などでなければ作成できないことになっています。

 もう一つは趣味の家系図です。これは相続の範囲を超えて明治19年式の戸籍まで取得して家系図を組みます。戸籍以上の調査を手掛けている業者は戸籍以外の資料もいろいろと利用します。この趣味の家系図は誰でも作成して良いことになっています。

 この趣味の家系図の作成は行政書士、司法書士の正規の業務には入っていないため、職務上請求書を使用することもできません。

 要するに、家系図作成の技術と行政書士、司法書士の資格とは直接関係はないのです。そのことは当の行政書士、司法書士が一番よく分かっていると思いますが、ホームページなどで書士であることを強くアピールしているところがあります。

 これはいかがなものでしょう。戸籍以上の調査を行っている業者ほど、自分が書士であることをあまりアピールせず、本来の先祖調査のスキルの高さを売りにしています。依頼するほうとしては、そのほうが重要ですね。

 書士が現在の戸籍を他の業務でよく扱い、守秘義務もあることはアピールして一向に構いませんが、書士=家系図の専門家と誤解されかねないような表現は気を付けるべきでしょう。


5 南関東の業者のほうが調査には有利。

 家系図を作成するとき、たとえ戸籍に基づいた調査であっても、いろいろと質問したいことが出てくるはずです。無期限で質問に答えるという業者もいます。

 家系図作成にとって重要な情報源の一つに市町村史などの郷土誌がありますが、郷土誌は地元と東京の国立国会図書館に集中して所蔵されているものです。郷土誌以外にも、東京には国立公文書館や東京大学史料編纂所などもあります。東京周辺の業者は、このような機関に行けば全国の文献を簡単に閲覧することができますが、地方の業者の場合は一苦労です。地元の図書館には、全国の市町村史が揃っていないため、ほとんどの場合は図書館間相互貸借で何週間もかかって取り寄せるか、全国の図書館にレファレンス(問い合わせ)をすることになるでしょう。しかし、図書館間相互貸借には一度に何冊までという冊数制限があり、一か月の冊数制限も設けられています。レファレンスも業者からのものだと分かると、業務の下請けになるという理由で断る図書館や公文書館もあります。

 ネットでよく全国対応と書かれていますが、実は調査ということを考えると、東京を中心とした南関東の業者の方が圧倒的に情報は集めやすい傾向にあり、そのぶん専門的な質問にもきめ細かく答えられる可能性があるのです。

 とくに戸籍以上の調査に関してはその差が大きく出ますから、戸籍以上の調査を依頼する場合は、できれば南関東の業者に依頼することをお勧めします。

 また、ご先祖の本籍地が判明している場合は、その地域にある業者に依頼するという選択もあります。アメリカなどでは、業者が得意とする地域をホームページに明記していることが多いので、依頼するほうとしても誰が自分の家の調査に適任のスペシャリストかがよく分かります。


6 巻物や掛軸の売り込みに熱心なところは?

 家系図に求められていることの第一は、調査力と資料分析力の高さです。近年の家系図に関するアンケートでも一番求められていることはそれでした。業者には、ぜひともこの二点を強くアピールしてほしいものです。

 業者が自分で製作するのではなく、外注に出す巻物や掛軸は、単に客単価を上げるための戦略としか思えません。そればかりをホームページやパンフレットで強調されると、肝心の調査能力の方は大丈夫かな、と疑問に感じてしまいます。



 以上をまとめると安心して依頼できる家系図作成業者というのは、つぎのようなところになります。


  1. 価格は安過ぎず、高すぎず。
  2. たとえ戸籍調査であっても、戸籍以上調査に対応している業者のほうが望ましい。
  3. ネットに広告を出し続けている業者と検索上位の業者では、後者の方がおススメ。
  4. 行政書士、司法書士という資格よりも家系図を作成する能力の高さのほうが肝心。
  5. 調査や情報収集は南関東の業者のほうが有利。あるいはご先祖の本籍地に住む業者に。
  6. 巻物や掛軸よりも、やはり調査能力や専門性の高さが重要。


 家系図に興味がある人で、業者に依頼する人は欧米では10人に1人ほど、日本ではもう少し多く2~3人ほどと思いますが、できればご自分でコツコツと調べて作られれることが一番です。手作りの家系図には、作り手の魂が自然と宿るものですから、きっとご先祖も喜ばれるはずです。

 しかし、現実には時間がない、高齢などの理由で業者に頼まれる方もいるでしょう。そうした場合、家系図というのは高額な商品のうえに、通常は一生に一度しか作らないものです。

 お金を無駄にせず、悔いを残さないように、業者選びは慎重のうえにも慎重に行うべきでしょう。

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