家系図作成に役立つ名簿のリスト その他編


 今回のリストでは帝国大学や有名私立大学の卒業者名簿を紹介しましたが、明治時代の大学進学率は約1%でした。当時は大学を卒業しただけでエリートとみなされていたのです。大正時代になっても進学率は3~5%とあまり伸びず、昭和に入っても戦前までは約10%程度でした。

 ちなみに戦前までの義務教育は尋常小学校(国民学校初等科)6年までで、それ以上の学校へ進学する者はわずか約13%でした。


《政界》 

 大正13(1924)年5月10日に行われた帝国議会(衆議院)議員選挙の当選者が掲載されています。

 記載事項は氏名・写真・選挙区・略歴です。


  昭和11(1936)年2月10日、226事件の直前に行われた衆議院議員選挙で当選した466名の経歴が載っています。選挙の得票数と次点候補者の氏名も記載されています。

 記載事項は氏名・写真・選挙区・職業・経歴・政見綱領です。


 翼賛政治会は戦時中に存在した日本の衆議院・貴族院合同の政治団体です。本書では同会に所属していた衆議院議員の略歴が紹介されています。

 記載事項は氏名・住所・電話番号・経歴・写真です。


《官界》 

 日本と満州国に勤務している主要な官吏の経歴を掲載しています。昭和13(1938)年版同14(1939)年版同15(1940)年版同17(1942)年版もあります。

 記載事項は氏名・役職・経歴・家族・電話番号です。身元や経歴については本人から情報提供を受けています。


《教育》 

 全国の公立中学校・師範学校・医学校・農学校などの教員名簿です。

 記載事項は学校名・氏名・役職・教科です。


 役所の課長級待遇の奏任官に叙された奏任小学校長約2.765名が掲載され、その一部については経歴も記されています。

 奏任小学校長閲歴の記載事項は氏名・写真(一部)・勤務校・経歴・教育意見・家族・趣味です。


 本省の職員のほか、全国の国立大学・師範学校・高等学校・高等工業学校などの教職員も載っています。

 記載事項は氏名・役職・住所です。


《商業》 

 上場会社の大口株主を載せています。

 記載事項は氏名・住所・所有している株の銘柄と株数です。


 不況のため全国で不渡り手形を出した会社経営者の名簿です。

 記載事項は停止日・氏名・住所・職業・金額・手形の種類・支払い銀行・拒絶理由です。


 全国の商工会議所の議員と事務局職員の名簿です。

 記載事項は氏名・職業(役職)・住所です。


《農業》 

 全国の大規模農家が掲載されています。第2冊もあります。

 記載事項は氏名と住所です。


 全国的な農業組織だった帝国農会の役員名簿です。大半はその地方を代表する地主階級の人物です。

 記載事項は所属農会・氏名・住所・役職です。


《工業》 

 明治12(1879)年に工部大学校(現在の東京大学工学部)の 第1期卒業生23名によって創立された工学会(現在の土木学会)の会員名簿です。

 記載事項は氏名・住所です。


 明治19(1886)年に創立された造家学会の会員名簿です。同会は同30(1897)年には建築学会と名称を変更しました。当時の建築家を知ることができます。同27年12月調版もあります。

 記載事項は氏名・職業・住所です。


《特許》 

 発明を保護する実用新案制度は明治38(1905)年に施行されました。道府県別に登録者が掲載されています。

 記載事項は登録番号・種名・実用新案名称・登録者・住所・登録年月日・実用新案公報番号です。


 我が国では明治21(1888)年に意匠条例が制定されて、商品のデザインなどの意匠は法的に保護されるようになりました。道府県別に登録者が掲載されています。

 記載事項は登録番号・応用物品・意匠名称・登録者・住所・登録年月日です。


《医師・薬剤師》 

 全国の医師、薬剤師、歯科医師が掲載されています。

 記載事項は氏名・勤務医は病院及び施設名・開業医は住所です。


 東京府内の医師を掲載しています。

 記載事項は氏名・族称・住所・専門科目・略歴です。


 全国の歯科医師が掲載されています。

 記載事項は開業場所・氏名です。


《弁護士》 

 全国の弁護士が掲載されています。

 記載事項は住所・電話番号(一部)・氏名・本籍地です。


《出版関係者》 

 全国の新聞社・出版社の役員・管理職、文化人4.390名などが記載されています。

 文化人を列記した「」記載事項は氏名・住所・電話番号・主な著作などです。


《船員》

 船長、運転士、機関長、機関士の名簿です。

 記載事項は免状番号・氏名・原籍身分(本籍地と族称)・出生年月日・登録年月日です。


《画家・芸術家》 

 日本画・洋画・書家・彫刻家・図案家・陶器師・七宝焼・刀剣家・漆工・篆刻家の名鑑です。日本画家の『現代美術家名鑑 』昭和2(1927)年もあります。

 記載事項は所属・住所・氏名です。


《華道》 

 全国諸流派の華道家を掲載しています。142コマ以降が名鑑です。

 記載事項は流派・氏名・経歴です。


《音楽家》

 音楽家の名鑑です。48コマ以降が「増補訂正内外楽壇名士録」です。

 記載事項は氏名・専門分野・解説・住所です。


《俳優・女優》 

 俳優と女優の名鑑です。『日本歌劇俳優名鑑 』大正10(1921)年もあります。

 記載事項は芸名・本名・出身地・生年月日・学歴・師匠・初舞台・特技・当たり役・現住所・趣味・所属です。


《浪曲師》 

 浪曲師の名鑑です。

 記載事項は芸名・本名・写真(一部)・十八番・住所・経歴です。


《力士》  

 明治19(1886)年の力士名鑑です。全国的に有名な力士数十名が掲載されています。

 記載事項はしこ名・経歴・写真(版画)です。


《競馬》  

 中央競馬の馬主、調教師、騎手などの名簿が載っています。『地方競馬年鑑』昭和11(1936)年版同13(1938)年版同14(1939)年版もあります。

 記載事項は氏名・職業・所属倶楽部・住所です。


《園芸》 

 全国の有名な園芸家を載せていますが、大半は種苗商や盆栽栽培の業者です。

 記載事項は氏名・専門分野(業種)・住所です。


《自動車所有者》 

 全国の自動車所有者の名鑑です。その数の少なさに驚きます。

 記載事項は車体番号・届出人住所・氏名です。


《宗教・神道》 

 東京府下の神社の神職が記載されています。

 記載事項は神社名・職掌・氏名です。


《宗教・仏教》

 記載事項は寺号・等級(寺の格)・開山開基創立年度・所在地・称号・住職氏名・住職移動欄です。


 全国の日蓮宗の寺院が掲載されています。僧侶の階級を示す緋衣の色と寺録(寺の年収)は記号で記されています。2コマに表が載っています。

 記載事項は住所・寺号・本寺末寺関係・緋衣の色・寺録・役職・住職氏名です。


 浄土真宗本願寺派(お西)の寺院名簿です。

 記載事項は寺号・身分(職名)・姓名・堂班(寺格)・所在地です。


《宗教・その他》

 道府県の教会別に教徒を掲載しています。

 記載事項は所属協会・役職・氏名・職業・住所です。


 全国の教会が掲載されています。

 記載事項は教会名・教会長の氏名・教会長の住所です。


《卒業生》  

 帝国大学の出身者約25.000名の経歴が掲載されています。

 記載事項は氏名・写真(一部)・住所・職業・出身校・略歴です。


 専門学校以上の学校を卒業した名士を掲載しています。

 記載事項は氏名・卒業学校・職業・原籍(本籍地)・住所です。


 明治26(1893)年卒の日本法律学校時代からの卒業生を載せています。

 記載事項は卒業年次・学科・氏名・本籍地・職業・住所です。


 帝国大学を卒業した名士を掲載しています。昭和7(1932)年版もあります。

 記載事項は氏名・職業・家族・出身校・経歴・住所です。


 明治17(1884)年の邦語政治科卒以後の卒業生が全員載っています。

 記載事項は氏名・卒業年次・学科・職業・住所です。


 明治14(1881)年に開校した明治法律学校からの卒業生が載っています。

 記載事項は氏名・本籍・卒業年次・学科・職業(勤務先)・住所です。 


 帝国大学の歴代教員を紹介した後、107コマからは「博士録」、366コマ以降は「学士名鑑」になっています。博士録は大多数が医学博士です。

 記載事項は氏名・職業・住所・略歴・家族です。


 明治19(1886)年卒の英吉利法律学校以降の卒業生が載っています。昭和16(1941)3月から同17(1942)年12月までの卒業生を載せた『学員名簿 追録』もあります。

 記載事項は氏名・職業・住所・原籍(本籍地)・中央大学学員会に入会した年度です。


 明治18(1885)年以降の卒業生が載っています。交友名鑑では詳しい経歴、交友名簿では氏名・卒業年次・学科・原籍(本籍地)・職業・住所が記載されています。また、年次別の卒業生名簿も収録されています。


 慶應義塾を卒業した28.332名の塾生を掲載しています。

 記載事項は氏名・原籍(本籍地)・学科・卒業年次・職業・住所です。


《志士・軍人》   

 明治27~28(1894~95)年の日清戦争で戦死した軍人の名簿です。中巻もあります。

 記載事項は死亡日・死亡場所・階級・氏名・出身県です。


 明治37~38(1904~05)年の日露戦争で戦死した第二師団管下(東北・新潟県)の軍人の名簿です。

 記載事項は本籍地・所属部隊・戦死年月日と場所・階級・氏名です。


 嘉永元(1848)年から明治24(1891)年までの事変、戦争で死亡した人物の氏名が掲載されています。136コマ(国立国会図書館デジタルコレクションのコマ番号)からは西南戦争の死亡者が載っています。

 記載事項は氏名・住所などです。


 大阪府から出征し日露戦争(1904~05)で戦病死した軍人の伝記です。京都兵庫滋賀長野県版もあります。

 大阪府から出征して生還した軍人を載せた『忠勇列伝.  明治三十七・八年戦役大阪府殊勲生存者之部 第1巻 』、同じく京都府の『忠勇列伝. 明治三十七・八年戦役京都府殊勲生存者之部 第1巻』もあります。

 第一次世界大戦満州上海事変支那事変の忠勇列伝もあります。

 記載事項は氏名・階級・写真(一部)・伝記です。


《勲章》 

 社会や文化に貢献した人に授与される黄綬 ・藍綬 ・緑綬 ・紅綬褒章の受賞者名簿です。同じような名簿としては『国民彰善録 』大正5(1916)年もあります。

 記載事項は氏名・住所・褒章理由などです。


《俳句》  

 目次では、俳号をいろは順に並べています。

 記載事項は俳号・本名・住所・職業・別号・生年月日・代表作品などです。


《囲碁》  

 道府県別に囲碁の有段者を掲載しています。

 記載事項は住所・段級位・氏名です。


《柔道》 

 嘉納治五郎が興した講道館の有段者名簿です。

 記載事項は住所・段位・氏名です。


《青年・少女》 

 全国にあった青年団の中から模範となる青年を選抜して掲載しています。選考は町村役場に任せられました。

 記載事項は住所・氏名です。


 全国の市町村長から推薦された模範的な青年と少女を掲載しています。

 記載事項は氏名・住所・戸主名・職業・推薦理由・推薦者(一部)です。


 全国の市町村長から推薦された模範青年と少女約10万名を掲載しています。本土のほか、樺太・台湾・朝鮮も収録されています。

 記載事項は住所と氏名です。


 収録人数は少ないですが、全員写真が掲載されています。

 記載事項は氏名・住所・写真です。


《電話帳》 

 九州と山口県の電話番号所有者を県別、職業別に記載しています。

 記載事項は職業・電話番号・氏名(会社名・商号)・住所です。


 大阪府・ 京都府 ・兵庫県・奈良県・三重県・愛知県・滋賀県・長野県・福井県・鳥取県・岡山県・広島県・和歌山県・香川県の電話帳です。

 記載事項は 電話番号・氏名(会社名・商号)・住所・職業です。


 大阪・京都・神戸・堺・西宮の電話帳です。ある地域の電話番号を職業別に記載しています。

 記載事項は氏名(会社名・商号)・電話番号・住所です。


 このほかにも先祖調査に役立つ紳士録などの名簿類は大量にあります。詳しくはデジタルアーカイブを利用した先祖調査をご覧ください。