先祖探求ゲーム『ルーツクエスト』を共同開発してくれる企業を求む

先祖調べが盛んなアメリカには、リアルなルーツ探求を体験できるボードゲームがある。『The Game Of Genealogy How To Find Your Ancestors 』である。こういうゲームが日本にもあればいいなと思っていたが、いまはスマホゲームのほうが手軽だろう。そこで、日本人の先祖探求を疑似体験できるスマホゲームを考えてみた。
タイトルはとりあえず『ルーツクエスト(Roots Quest)』としてみた。プレイヤーは自らの先祖を探求しながら家族の歴史を解き明かしていく。家系図作成をテーマとしたシミュレーションRPGである。
このゲームの最大の特徴は、実際の先祖調査・歴史調査で行われる手法をゲーム内で行い、「調査する楽しさ」と「発見する喜び」を誰でも体験できるようにした点にある。プレイヤーは、実際の先祖探求で利用されるさまざまな史料や記録を調査し、断片的な情報を積み重ねながら、ひとりひとりの祖先の人生を少しずつ明らかにしていく。

ゲーム開始時、プレイヤーはまず苗字を選択して自分自身をつくる。そして自身を中心として、両親の2家系、祖父母の4家系、曾祖父母の8家系、高祖父母の16家系、その前の32家系までの直系尊属が「先祖図鑑」に登録されている。この範囲は実際の戸籍・除籍取得により判明する範囲とほぼ同じであり、このゲームのリアルさを示している。しかし、その多くは氏名や居住地、職業、家紋、人物像などが伏せられた状態であり、プレイヤーはさまざまな調査ミッションを通じて情報を解放し、図鑑を完成させていく。
調査は短時間で楽しめるミッション形式で進められ、実際の先祖調査をモチーフにしながらも、テンポ良く遊べるようになっている。プレイヤーはまず戸籍と除籍・改製原戸籍を入手する。次に両親の聞き取り調査を行う。国立国会図書館デジタルコレクションを使い、数百万の文献を横断検索する。そして新聞、墓石、位牌、過去帳、古文書、手紙、古い写真、旧土地台帳、学校記録、宗門人別帳、検地帳、古絵図、地名辞典、軍歴証明書、藩政資料、村方文書、秩禄処分記録、人事記録、神社記録、電話帳、住宅地図など、さまざまな史料を調査対象とする。それぞれの資料から得られる情報は異なり、複数の史料を組み合わせることで初めて新たな事実が判明する場合もある。プライバシーに配慮してゲーム内の固有名詞はすべて仮名となっている。
調査によって得られた成果は、その場で先祖図鑑や家系図へ反映される。祖先一ひとりひとりには人物カードが用意されており、氏名、生没年、居住地、職業、身分、家紋、戒名、肖像、人物伝、関連史料、証明状況などの情報が少しずつ解放されていく。図鑑を埋める収集要素と、自分の調査成果が可視化される達成感が、このゲームの中心的な楽しさとなる。図鑑が埋まるたびにプレイヤーには新しい称号が与えられる。
先祖が解放されると、その先祖の選択が子孫であるプレイヤーにいかなる影響を与えているのかを視覚化した「歴史イベントタイムライン」が生成される。これを見ると、自分と先祖とのつながりの深さを実感できる。たとえばタイムラインは、「戊辰戦争に従軍した先祖がもしも戦死していたら」「天保の大飢饉で先祖の住んでいた村の村人全員が餓死していたら」「もしも祖父が祖母と出会わなかったら」など、その家の歴史にifがあったら、いまのあなたは生まれていなかったことを教えてくれる。

ゲームの目的は、先祖図鑑を完成させることだけではない。特定の祖先については、江戸時代から戦国時代、中世、さらに古代へと縦方向に系図を遡ることができる。しかし、遠い祖先へ到達するためには、文献や記録を比較・検証するプロセスを経なければならない。これを通じてプレイヤーは系図学の基本である「証明」「推定」「伝承」「未確認」の意味を知り、科学的に系図を構築していくことの大切さを体験する。単に古い祖先へ到達することを目的としているのではなく、証拠を積み重ねて歴史を解き明かしていくことが、このゲームの醍醐味なのである。遊びながら系図学や歴史学の理論が自然と身につくように設計されている。
先祖の移動場所を「日本の地図ビュー(先祖の移動ルート)」で視覚化し、その地を訪問してクエストを達成すると報酬で「帰郷印」を入手できる。このような先祖ゆかりの地を聖地巡礼するルーツツーリズムを先取りしたような体験もできる。
ゲーム内にはFamilySearch(無料)やAncestry.com(有料)のような系図プラットフォームも登場する。家系図作成会社も出てくる。 プレイヤーはこのような家系図共有サービスに自分の家系図を登録することで、世界中のプレイヤーが作成した家系図と接続することができる。海外移住や婚姻、養子縁組などを通じて、日本国内だけでなく海外のプレイヤーとも家系図が接続し、「世界家系ネットワーク」が形成されていく。実際にこのような系図プラットフォームは存在している。たとえばGeniはユーザーが投稿した2億人以上のプロフィールが載っている家系図を接続することによって、「世界家系図」の構築を目指している。地球上のほぼすべての人類は、少なくとも50代以上さかのぼれば、共通の先祖によって接続すると考えられている。このゲームを通じて、遠く離れた個と個の先祖を接続し、世界は我々が思っているよりも狭い空間であることを感じてほしいのだ。欧米ではそれをリアルに体験できるサイトがあるが、日本にはまだないため、それをこのゲームで疑似体験してほしいのだ。まさに「世界は一家、人類はみな兄弟」の実践である。
FamilySearchなどでは、ユーザーが登録した家系図と歴代のアメリカ大統領の家系図を正確に接続するサービスが人気である。このようにリアル世界では、自分の家系図と歴史上の有名人の家系図を接続する楽しみが広がっているため、このゲームでもその楽しみを体験してもらいたい。たとえゲーム世界であっても、自分の先祖と歴史上の人物や海外の著名人との意外なつながり(必ずしも血縁や同族のつながりだけではなく、同士、同僚、友人などつながりの形は多様である)を発見することは、ルーツを探求する大きな楽しみとなるだろう。

また、プレイヤーは同じ祖先や一族を共有する他のプレイヤーと「一族会」を結成したり、既存の一族会へ参加したりすることができる。一族会では調査情報の共有、協力ミッション、限定イベント、ランキングなどが用意され、個人での調査だけでは得られない成果や交流を楽しめる。
ゲームを進めると、通常の調査に加えてプレミアムミッションが解放される。DNA検査では、リアルと同じく常染色体DNAを利用して遠縁とのつながりを発見し、世界中のプレイヤーとの新たな接点を得ることができる。また、ミトコンドリアDNAの解析によって母系祖先をたどり、人類がアフリカから世界へ広がった「グレートジャーニー」の足跡を体験することもできる。さらに、祖先と関わりのあった人物たちを徹底的に掘り下げて調査する「クラスター調査」、同じ苗字の歴史や分布、家紋、伝承を広範囲に調べる「一姓調査」が用意されており、通常の文献調査では得られない新たな手がかりを発見できる。
『ルーツクエスト』は、単に家系図を作るだけのゲームではない。先祖を調べ、歴史資料を読み解き、他者とのつながりを発見し、地域史、日本史、世界史、そして人類史を一つの流れとして体験する「知的冒険ゲーム」になるように設計されている。
プレイヤーは、ひとつひとつの調査と発見を積み重ねながら、自分の一族の物語をつむぎ、世界中のプレイヤーとともに巨大な「世界家系ネットワーク」を築き上げていくのだ。そして、「ひとりひとりの家族の歴史が、人類全体の歴史へとつながっている」という壮大な世界観を体験することが、このゲームの究極の目的である。
『ルーツクエスト』は 、これまでに存在していないまったく新しい世界観のゲームになっている。このゲームの開発に協力してくれる企業があれば、ぜひこちらから連絡してほしい。

