真田はかつて実田と書かれていた

2018年11月16日


 2016年の大河ドラマ『真田丸』の主人公は真田信繁でしたが、真田とはどういう意味でしょう。真の田? とは何のことでしょう。

 真田氏の故郷は信濃国小県郡にあった真田郷です。真田郷は現在の長野県上田市真田町。この地の初見は応永7年(1400)ら出たといわれる『大塔物語』に見える「実田(さなだ)」の記載です。室町時代の真田氏は実田と書かれていたのです。 

 では、そもそも「さなだ」の語源は何でしょう。これは旧暦の五月に苗を植える早苗田(さなえだ)のことと推測され、本来は「さなえだ」と呼ばれていましたが、言いにくいので「さなだ」へと変化したものと思われます。

 その「さなだ」に最初に当てられた漢字は実田でした。「実」は佳字、縁起の良い文字です。実には、作物が良く実るようにという願いが込められていたのです。


 それがどうして真田に変わったのでしょう。それは実という漢字には、「実の息子」と言うように「本当の」という意味があるからです。真にも「本当の」という意味があることから、いつしか真田と書かれるようになりました。

 早苗田(さなえだ)から実田(さなだ)、そして真田へと二転三転したわけですね。

 なお「さなだ」は狭名田とも書かれました。これは「さなだ」の地が山に囲まれた狭い山の中にあったからです。

 苗字の由来は本当に面白いものです。こうして調べてみなければ、真田が実は「春に苗を植えた田」のことだということも、もともとは佳字の実が使われていたことも分かりません。真田信繁の武勇は広く知られていますが、その苗字の由来はまだほとんど知られていませんね。


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