明治時代初期の女性名

2020年11月11日


 明治時代の変体かなで書かれた女性名を読むとき、その当時、どのような名前があったのかを知っておくと解読の助けになります。


 角田文衛氏の『日本の女性名 下』によれば、旧制高等女学校の同窓会名簿数十冊から、明治初期の女性の名前を抜き出して五十音順に並べると、次のようになるとあります。


【あ】あい あか あき あさ あや

【い】いく いし いつ いと いま
【う】うた うめ 
【え】えい えみ
【か】かう かく かつ かね かよ 
【き】きい きく きさ きそ きぬ きよ きよう きん ぎん
【く】くに くら 
【け】けい
【こ】こう こと
【さ】さく さだ さち さと さゆ 
【し】しげ しづ じやう しん
【す】すず すみ すゑ 
【せ】せい せつ せん
【そ】そで その
【た】たい たか たき たけ たつ たづ たま たみ 
【ち】ぢう ちえ ちか ちやう ちよ(千代) ちゑ 
【つ】つぎ つた つね つや つゆ つる
【て】てい てつ てる 
【と】とき とく とし とみ とめ とも とよ とら とり
【な】なか なつ なほ なみ なを 
【ぬ】ぬい
【の】のぶ
【は】はつ はな はま はる 
【ひ】ひさ ひろ 
【ふ】ふき ふく ふさ ふじ ふで ふみ ふゆ 
【ま】まき まさ ます まち まつ まり 
【み】みき みち みつ みね みや みよ 
【む】むめ むら 
【も】もと 
【や】やす やへ 
【ゆ】ゆう ゆき
【よ】よし よね
【ら】らく
【り】りう りき りつ りん 
【る】るい
【れ】れい れん
【ろ】ろく
【わ】わか わり


 このなかで多いのは「ちよ」「はる」「はな」の三つ。「ちよ」のみは千代と漢字で書かれることもありました。
 二音節二字型が圧倒的に多く、接尾語の子をつけるようになるのは明治時代も末の後期になってからです。
 明治初期の変体かなで書かれた女性名を読むときには、まずはここで紹介した音の組み合わせを辞書やネットで調べてみて下さい。