苗字の本棚


  苗字の基礎知識を知る入門書です。


 基礎知識の次に、個々の苗字の由来や語源を知るための入門書です。前の2作は丹羽先生の著作でおもに苗字の由来解説に重点をおいたものです。3番目の丸山浩一先生の『姓氏苗字事典』はルーツ(系図的系統)に重点が置かれて解説されています。


 珍しい文字の苗字や読み方が難しい苗字の由来を解説している辞典です。


 古典的な名著としては柳田國男氏の『先祖の話』があります。これを読むと日本人が祖先観がよく分かります。また、明治時代以降の法制から家の変遷を解説した井戸田博史氏の『「家」に探る苗字となまえ』は近代の家を考える上で大変に役立ちます。井戸田氏の家や戸籍、苗字に関する著作はどれも興味深いものばかりです。


 苗字の由来や出自をかなり専門的に調べるための辞典です。『姓氏家系大辞典』は昭和11(1936)年刊行のため、旧漢字、歴史的仮名遣いで表記されています。『新編姓氏家系辞書』は苗字の収録数や解説では『姓氏家系大辞典』に遠く及びませんが、太田先生の旧著を丹羽先生が現代語訳し、新項目を追加したものです。『姓氏家系大辞典』をこのようにリニューアルしたものの刊行が待たれます。


 『姓氏家系大辞典』には地方の近世(江戸時代)記録をほとんど使っていないという大きな問題点がありました。その弱点を補うべく『角川日本姓氏歴史人物大辞典』(竹内理三 他編纂 角川書店 1989-98)が刊行されました。岩手、宮城、群馬、神奈川、富山、石川、山梨、長野、静岡、愛知、山口、鹿児島、沖縄の各県と京都市の巻が出ています。これらの地域の苗字を調べる時には必読の辞典となっています。都道府県立図書館や大きな市立図書館には所蔵されていますが、ご先祖の出身地の分は持っていると何かと役立ちます。中古本はほとんど流通していません。