苗字の連濁について

2019年05月22日

 

 苗字には「やまざき」「なかじま」「たかた」のように濁るものと、「やまさき」「なかしま」「たかた」のように濁らないものがある。この違いは連濁(れんだく)が発生しているかどうかである。

 連濁とは語と語が結合するとき、後ろの語の最初の音が清音から濁音に変化する現象である。苗字だけではなく、貯金箱(ちょきんばこ)、十円玉(じゅうえんだま)、歌声(うたごえ)など、日常使われている日本語の多くで見られる。

 連濁が起こる原因としては、二つの語が結合してできた語の熟合度が高いほど起きやすいとされ、古い言葉でも時代が下ると連濁を起こす傾向にある。とくに東日本では連濁が発生しやすいため、苗字でも一般的に「やまざき」「なかじま」「たかだ」など連濁を起こしているものは、東日本に多く見られるという特徴がある。

 たった数文字の苗字ではあるが、連濁という観点から分析するだけでも、いろいろなことが分かってくる。やはり苗字は古代・中世から受け継がれてきた我が国の文化遺産である。