日系人プロジェクト


住民の5人に1人が日系人というハワイ
住民の5人に1人が日系人というハワイ

 

 私は丹羽先生と出会った20代のころから、何度も東京で活動するように先生から勧められました。そのほうが人脈も広がり、出版の機会にも恵まれ、マスコミの目にもとまりやすく、講座を開くにしても受講生が多く集まるからです。丹羽先生は私がとりあえず東京で生活できるように、就職先まで見つけてくださりましたが、申し訳ありませんが辞退しました。

 理由は、故郷の北海道に愛着があったことと、北海道には私を必要としてくれる人が多くいたからです。そもそもご先祖調べというのは世界的に見ても移民の国で盛んに行われていることです。アメリカやオーストラリアには熱心にルーツを調べている人が大勢います。そういう人たちの故地(ご先祖の故郷)の多くはヨーロッパ諸国にあり、ヨーロッパでは米豪人の故地ツーリズム(ご先祖の故郷探訪)に対応すべく、系図、紋章、先祖調べの専門家たちがアーカイブスの電子化や整理を日々進めて利便性を高めています。こうして需要と供給が一致し、世界的なルーツブームを支えているのです。

 北海道も移民で成立した土地です。現在の北海道民(どさんこ)のご先祖の大多数は明治以降、本州各地から移り住んできた人々でした。そういう歴史的な背景が北海道は米豪に似ています。

 北海道民がルーツを調べ始めると、曽祖父か高祖父あたりで本州から移住していることに気づきます。除籍を見ると、たいがいは本州に兄弟が残っていますが、現在はまったく没交渉となっており、除籍を取り寄せて初めてご先祖の故地を知ったという人も珍しくはありません。人は知らない、分からないからこそ知りたいという欲求が強く生まれます。北海道民の多くは自らのルーツについてほとんど何の情報も持っいていません。そのため、ご先祖の移住によって断ち切られたルーツの糸をどこかに結び付けたいという欲求にかられるのです。この気持ちは先祖代々同じ場所に住み、江戸時代から同じ菩提寺と付き合い、古い墓石を守っている本州の方には、ちょっと分かりづらい心理かも知れません。

 私はこれまで30年間以上、どさんこのルーツを知りたいという強い気持ちに寄り添いながら、その手伝ってきました。それはいま振り返っても充実した日々であり、遠いあの日、丹羽先生の上京のお誘いをお断りしたことは、申し訳なかったという気持ちはありますが、人生の選択としてはまったく後悔していません。

 しかし私は最近、そろそろ次の活動のステージに進もうかと考えています。


約200万人の日系人が暮らすブラジル
約200万人の日系人が暮らすブラジル


 それは日系人社会というステージです。

 どさんこの大多数が移民の子孫であるように、世界各地の日系人もまさに移民の子孫です。明治以降、南北アメリカ大陸に移住した人々の子孫は現在、三世、四世の時代となり、日本語を読み書きできる人はほとんどいないといわれています。日本語がわからないということは日本語で書かれた先祖調べのノウハウや苗字情報を利用することができないため、彼らは極端に情報が少ない状態に置かれています。

 ルーツ調査先進国であるアメリカには、年間一千億円以上の売上をあげているAncestry.com(米国企業)のようなオンラインでルーツ情報を提供している会社があり、会員になると160億件以上の記録にアクセスすることができます。しかし同社にアクセスしても日本人に関する情報は非常に少なく、日系人がこのようなサービスを利用したとしても、日本人の先祖情報を得られる状況にはありません。

 日本では近年、国立国会図書館のデジタルコレクションのサービスが格段に進歩しました。とくに個人向けデジタル化資料送信サービス(個人送信)の開始で約184万点(2023年2月時点)の文献、雑誌の全文検索が可能になってからは、それまで停滞していた先祖調査が一気に前進したという人も多いことでしょう。このサービスは先祖調査者にとっては夢が実現したようなインパクトがありましたが、利用は日本在住者に限られているため海外の日系人は利用することができないのです。

 公益財団法人海外日本人協会の調べによれば、世界の日系人の人数は約380万人。先祖に日系人の血が少しでも入っている人の数は、もっと多く膨大な数になると推測されます。これだけの日系人および日本人の血をひく人々のなかには、欧州出身者と同じく自らのアイデンティティを求めて、日本人のご先祖のことが知りたいと痛切に感じている人が多くいるはずだと私は確信しています。この確信は、どさんこのルーツ欲求に接してきた経験から得られたものです。

 そこで、日系人とその故地である日本をつなぐプロジェクトを計画しています。

 具体的には、英語、ポルトガル語、スペイン語で日本人の家系調査情報を発信し、全世界にいる日系人の依頼に応じて、彼らのご先祖の除籍を取り寄せ、外務省外交資料室で旅券下付記録を調べ、国立国会図書館のデジタルコレクション の情報を伝え、場合によっては日本にいる親戚を探して一族の絆を結びなおすお手伝いをしようというものです。

 この事業は軌道に乗れば、大きなビジネスチャンスになるだけではなく、これまで誰も提供してこなかったサービスを日系人に提供することによって、彼らからも深く感謝されるという国際交流貢献の側面も持ちあわせています。

 最近はいろいろな方から参加の申し出をいただいていますが、まだまだ人材、資金ともに不足しています。この文を読んで、自分も関わりたいと思われた志を同じくする方を広く求めています。下記よりメールでご連絡ください。

 とくに次のような方にはパートナーになってもらいたいと思っています。


  1. 英語、ポルトガル語、スペイン語に堪能な方。日本語のサイト、資料をそれぞれの言語に翻訳するお手伝いをお願いできないでしょうか。当初はボランティアになりますが、事業が正式に立ち上がれば、スタッフとして参加していただきます。
  2. 海外の日系人社会とパイプがある方。またはそういう方を知っている方。あなたの人脈を使わせもらえないでしょうか。我々のサービスを求めている日系人が必ずいると信じています。
  3. ハワイなど海外在住の方で、このプロジェクトを現地日系人に知らせてくれる方。プロジェクトが軌道に乗ったさいには、代理店契約を結ぶことを考えています。
  4. 日系人から先祖調査を依頼された場合、実際に代理調査を行う企業の方。調査は通常の日本人の調査と本質的には変わりません。除籍取得が情報収集の中心です。従来の日本人のマーケットは業者の乱立で飽和状態ですが、日系人プロジェクトは可能性に満ちたまったく新しいマーケットの開拓です。
  5. このプロジェクトに資金提供をしても良いと思われた個人・企業の方はいませんか。当初はニッチなビジネスモデルではありますが、マーケットに競合が全くいないため、成功すれば独占的に依頼を受注できます。また日本は家系図情報ビジネスの後進国であり、将来的に欧米と同じく家系調査にDNA情報が利用されるようになれば、Ancestry.comのように年間一千億円以上を売上げる巨大企業に成長する可能性もあります。
  6. Ancestry.com のような海外ルーツ企業のアジア方面担当者の方。御社に本格的な日本人向け家系情報データベースを構築しませんか。日本人と日系人が新規ユーザになれば、御社はアジアの将来有望な未開のマーケットを独占的に手に入れることができるはずです。


 参加希望の方はお問い合わせ欄からメールをお送りください。メールは日本語のみの対応です。お名前は実名をお書きください。匿名の方には返信は致しません。

 現時点では参加希望された方に報酬は発生しません。私たちの志が結実し、事業として立ち上がった時、プロジェクトにパートナーとして参加してくださった方には、先行者利益がもたらされることになるでしょう。それまでは無償で協力していただける方を求めています。